深海魚おじさんの正体はブロブフィッシュ?ニュウドウカジカとの違いと真相を徹底解説

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深海魚おじさんの正体はブロブフィッシュ?ニュウドウカジカとの違いと真相を徹底解説
深海魚おじさんの正体はブロブフィッシュ?ニュウドウカジカとの違いと真相を徹底解説
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鼻のように突き出た顔、垂れ下がった口元、どこか疲れた中年男性を思わせる表情。SNSや図鑑で「深海魚おじさん」と呼ばれる魚を見て、正体が気になった人も多いのではないでしょうか。その代表格として知られるのが、ブロブフィッシュとニュウドウカジカです。

ただし、この2つの名前は厳密には同じ魚を指すものではありません。海洋研究開発機構(JAMSTEC)の海洋生物情報システムBISMaLなどの分類情報を確認すると、ニュウドウカジカはウラナイカジカ科ウラナイカジカ属に属する独立した魚種です。一方、ブロブフィッシュという呼び名は、特定の魚種を指す場合と、近縁の魚を広く紹介する文脈で使われる場合があります。なぜおじさん顔に見えるのか、水中でも同じ姿なのか、名前の由来とともに整理します。

📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
  • 正体:「深海魚おじさん」は正式な魚の名前ではなく、ブロブフィッシュやニュウドウカジカなどを指す通称。
  • 見た目の真相:有名な顔は、深海から引き上げられた際の減圧や、柔らかな体が自重で変形することによって強調される。
  • 見分け方:ブロブフィッシュとニュウドウカジカは近縁だが別種。学名、生息海域、撮影時の状況を確認するのが確実。

【正体を解明】深海魚おじさんはブロブフィッシュ?ニュウドウカジカ?

深海魚おじさん
【画像】深海 魚 おじさん 関連ショット

「深海魚おじさん」は、魚類の正式な和名や分類上の名称ではありません。人間のおじさんを連想させる顔つきの深海魚に付けられた、親しみを込めた通称です。

代表的な魚として挙げられるのが、英語でブロブフィッシュ(Blobfish)と呼ばれる魚と、日本近海を含む北太平洋にも分布するニュウドウカジカです。どちらもウラナイカジカ科の仲間で、柔らかな体や丸みのある頭部など、共通する特徴を持っています。

とりわけ有名になったのは、ピンク色の柔らかな体に、丸い鼻のような突起と垂れ下がった口元が見られる写真です。2013年には、英国の「Ugly Animal Preservation Society(醜い動物保護協会)」のマスコット投票をきっかけに、ブロブフィッシュが世界的に知られるようになりました。「世界一醜い魚」といった印象的な紹介も、知名度を押し上げた要因です。

しかし、ここには誤解があります。ネット上では、ブロブフィッシュの写真にニュウドウカジカという名前が添えられたり、その逆の紹介がされたりすることがあります。見た目が似ていることに加え、英語の通称と日本語の標準和名が混同されやすいためです。

つまり、「深海魚おじさんの正体はブロブフィッシュ」と説明するのは、一般的な呼び方としては間違いではありません。ただし、写真に写っている魚が厳密にどの種なのかを特定するには、学名や採集海域などの情報が必要です。

【比較表】ブロブフィッシュとニュウドウカジカの違い

深海魚おじさん
【写真】深海 魚 おじさん 近影・注目カット

両者を区別するうえで、最も重要なのは顔の印象ではなく、分類と生息域です。JAMSTECのBISMaLや、小学館『日本大百科全書』に掲載されているニュウドウカジカの解説などを参考にすると、次のように整理できます。

比較項目ブロブフィッシュニュウドウカジカ
学名Psychrolutes marcidus(狭義のブロブフィッシュの代表例)Psychrolutes phrictus
分類ウラナイカジカ科・ウラナイカジカ属ウラナイカジカ科・ウラナイカジカ属
主な分布オーストラリア南部周辺など北太平洋。日本近海からベーリング海、北米西岸方面など
生息水深の目安数百〜千メートル級。資料ではおおむね600〜900mなどとされる約480〜2,800m
大きさの目安全長約30cmと紹介されることが多い全長約60cmになる
見分けるポイント学名とオーストラリア周辺などの採集情報学名と北太平洋などの採集情報

※生息水深や最大サイズは、参照する資料や個体によって表記が異なる場合があります。また、ブロブフィッシュという呼び名が広い意味で使われる場合には、上表の学名だけで呼称全体を説明できるわけではありません。

両者は同じウラナイカジカ属に含まれる近縁種ですが、同一種ではありません。日本でニュウドウカジカと呼ばれる魚の学名は、JAMSTECのBISMaLでもPsychrolutes phrictusとして登録されています。

一方、英語圏でブロブフィッシュとして有名なPsychrolutes marcidusは、オーストラリア南部周辺の深海に生息する魚です。両者を同じものとして扱う紹介記事があるため、検索画像だけで判断すると混乱しやすくなります。

また、「ウラナイカジカ属」と「ウラナイカジカ科」も区別したいポイントです。科は分類上の大きなまとまりで、属はその下の階級に当たります。似た外見を持つ魚が複数いるからこそ、分類名を確認することが大切です。

【見た目の真相】なぜブロブフィッシュはおじさん顔に見えるのか

深海魚おじさん
【資料】深海 魚 おじさん 報道・メディア記録

ブロブフィッシュのおじさん顔を印象づけているのは、主に丸い頭部、鼻のように見える突起、垂れ下がった口元、そして柔らかな皮膚です。正面から撮影された写真では、目や口の配置が人間の顔を連想させ、表情まであるように感じられます。

ただし、魚の顔が人間に似ているからといって、人間のような表情をしているわけではありません。目や口の位置、体表の形状を、人間が見慣れた顔のパターンに当てはめて認識している面があります。

特に重要なのが、陸上で撮影された姿です。ブロブフィッシュの仲間は、筋肉が発達した魚のように体形をしっかり保つのではなく、柔らかな組織を持っています。深海から引き上げられると周囲の水圧が急激に下がり、水中で支えられていた体が自重によって垂れ下がり、輪郭が変化します。

その結果、頭部や口元の組織がたるんだように見え、鼻が大きく、唇が厚く、どこか困ったような顔に映るのです。写真で目立つ鼻のような部分も、人間の鼻と同じ構造のものが突き出しているわけではなく、柔らかな組織の形状が印象を強めています。

オーストラリア博物館(Australian Museum)は、深海から採集された「Mr Blobby」と呼ばれる標本について、魚の体が水の外で過ごすことに適した構造ではないことを説明しています。また、標本の保存処理によって皮膚が引き締まり、鼻のように見える部分の形まで変わることにも触れています。

つまり、写真で知られる姿は、その魚が深海で生活しているときの外見をそのまま再現したものではありません。「世界一醜い」という評価も、引き上げ後の変形した姿を基準にした印象であることを理解しておきたいところです。

【生態を解説】ブロブフィッシュの水中の姿と深海での暮らし

では、ブロブフィッシュは水中ではどのような姿をしているのでしょうか。

深海で撮影されたウラナイカジカ科の魚は、陸上の標本写真で見られるような極端に垂れ下がった姿とは異なり、魚らしい輪郭を保っています。体の周囲が海水に支えられ、深海の高圧環境に適応した柔らかな体が、本来の生活環境に近い状態で見られるためです。

深海の水圧は、水深が約10m深くなるごとに大気圧1気圧分ほど増加します。水深1,000mでは、海面の大気圧を含めて約100気圧規模の圧力がかかります。こうした環境で暮らす魚を海面まで急に引き上げると、体を取り巻く条件が大きく変化します。

ブロブフィッシュの仲間は、ガスをためた浮き袋で浮力を調節する一般的な魚とは異なり、柔らかな体の組織を利用して浮力を得るタイプとして知られています。筋肉を多く発達させて泳ぎ続けるのではなく、海底付近でエネルギーを節約しながら暮らすことに適した体のつくりです。

餌については、海底近くにいる小型の甲殻類などを食べると考えられています。積極的に獲物を追い続けるよりも、周囲にいる餌を利用する省エネルギー型の生活が、深海という環境に適していると考えられます。ただし、種によって生態は異なり、野外での観察が難しいことから、行動の詳細には解明されていない部分もあります。

ここで注意したいのは、「水圧があるから顔が完全に元どおりになる」という単純な説明も正確ではないことです。生きているときの体形には、水圧だけでなく、組織の構造、浮力、姿勢、周囲の水による支持など複数の要因が関わっています。水中映像と陸上の標本写真を比較することが、本来の姿を理解するうえで役立ちます。

【名前の由来】ニュウドウカジカと本物の「オジサン」は別の魚

ニュウドウカジカという名前の「ニュウドウ」は、一般に「入道」に由来すると説明されます。入道とは、頭を丸めた僧侶や、大きな頭を持つ入道坊主などを連想させる言葉です。大きく丸みのある頭部や、どっしりした体つきが名前のイメージにつながったと考えられています。

「カジカ」は魚の名前に使われる語で、ニュウドウカジカは分類上、ウラナイカジカ科に属します。小学館『日本大百科全書』では、ニュウドウカジカを学名Psychrolutes phrictusの海水魚として紹介し、北太平洋の深海底に生息することや、柔らかな厚い皮膚、大きな頭部などの特徴を解説しています。

一方、名前に「おじさん」が入る魚として、標準和名が本当に「オジサン」という別の魚もいます。こちらは深海魚ではなく、ヒメジ科に属する海水魚です。東京都葛西臨海水族園の生き物解説によると、オジサンはサンゴ礁の発達した浅い海に暮らし、下あごにある一対のひげを使って、砂に隠れたエビやゴカイなどの餌を探します。

このひげが人間のおじさんの口ひげを連想させることが、名前の由来です。つまり、「深海魚おじさん」という通称で呼ばれるブロブフィッシュやニュウドウカジカと、標準和名が「オジサン」の魚は、分類も生息環境も異なります。

名前のインパクトだけで魚を分類すると、こうした別種の情報が混ざりやすくなります。魚の名前を調べる際には、正式な和名、学名、科や属の情報を分けて見ることが、誤解を防ぐ近道です。

【プロの結論】深海魚おじさんの見分け方と誤解しないための基準

「深海魚おじさん」の正体を調べるときは、顔の印象だけで魚の種類を決めず、次の3つの基準を確認するのがおすすめです。

1.学名を確認する

ブロブフィッシュの代表的な種はPsychrolutes marcidus、ニュウドウカジカはPsychrolutes phrictusです。写真に学名が記載されていれば、通称だけで紹介されている場合よりも正確に種を確認できます。

2.生息海域と撮影状況を確認する

オーストラリア南部周辺の魚なのか、北太平洋のニュウドウカジカなのかを調べることも有効です。また、深海で撮影された映像なのか、漁網で引き上げられた後の写真なのかによって、見た目の解釈は大きく変わります。

3.陸上の顔だけで「本来の姿」を判断しない

垂れ下がった皮膚や鼻のような突起が目立つ写真は、減圧や自重による変形が影響している可能性があります。水中映像や採集時の情報も併せて確認すると、魚の体の特徴をより正しく理解できます。

特に注意したいのは、インターネット上で「ブロブフィッシュ」と紹介されている写真が、必ずしもすべて同じ種を写したものではないという点です。画像だけを見てニュウドウカジカと断定したり、逆にブロブフィッシュを特定の一種だけの呼び名として扱ったりすると、誤った情報につながることがあります。

また、「世界一醜い魚」という呼び方は、科学的な分類や生物学的な評価ではなく、人間の見た目の好みに基づく表現です。深海での生活に適応した体の仕組みを知れば、柔らかな体も、独特の輪郭も、生存環境と切り離して考えられない特徴だと分かります。

【深海魚おじさん】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:深海魚おじさんの正式な名前は何ですか?
A1:「深海魚おじさん」は正式な和名ではありません。ブロブフィッシュやニュウドウカジカなど、おじさんの顔に似ていると話題になる深海魚を指す通称です。写真によって魚種が異なる可能性があります。

Q2:ブロブフィッシュとニュウドウカジカは同じ魚ですか?
A2:厳密には別種です。どちらもウラナイカジカ科ウラナイカジカ属の近縁な魚ですが、ブロブフィッシュの代表的な種はPsychrolutes marcidus、ニュウドウカジカはPsychrolutes phrictusです。

Q3:ブロブフィッシュは水中でもおじさん顔なのですか?
A3:陸上で有名になった写真と同じ姿とは限りません。深海から引き上げられると、減圧や自重によって柔らかな体が変形します。水中では体が海水に支えられ、陸上の標本写真とは異なる輪郭を保っています。

Q4:ニュウドウカジカという名前の由来は何ですか?
A4:「入道」に由来すると一般に説明されます。丸く大きな頭部や、どっしりした体つきが入道を連想させることから付けられたと考えられています。

Q5:標準和名が「オジサン」という魚も深海魚ですか?
A5:いいえ。標準和名が「オジサン」の魚はヒメジ科に属し、サンゴ礁などの浅い海に暮らしています。下あごにある一対のひげが名前の由来で、深海魚おじさんとして話題になる魚とは別の種類です。

まとめ:深海魚おじさんの真相は「顔」よりも生態と分類にある

深海魚おじさんの正体として知られるブロブフィッシュやニュウドウカジカは、見た目のインパクトだけでなく、深海という特殊な環境に適応した体の仕組みが興味深い魚です。どちらもウラナイカジカ科の仲間ですが、分類上は別種であり、生息海域や学名にも違いがあります。

また、世間で有名な垂れ下がった顔は、深海で暮らす魚の姿をそのまま写したものとは限りません。柔らかな体が水圧の変化や自重の影響を受けることで、鼻や口元が強調され、人間のおじさんを思わせる表情に見えるのです。

「深海魚おじさん」を正しく見分けるなら、写真の印象だけで判断せず、学名、生息海域、水中と陸上の撮影状況を確認することが大切です。見た目の面白さを入り口に、名前の由来や分類、生態まで知ることで、深海魚の魅力をより深く理解できます。 (出典: 深海 魚 おじさん(Yahoo!ニュース))